人々の健康をデザインして ゼロ・ウェイストホテルをめざす
株式会社凛門
鳥のさえずりが聞こえる静かな山間の斜面に、ひっそりとたたずむホテルが江之浦リトリート 凛門。眼下には海を見渡す景観が広がり、自然素材のやさしさにあふれた館内はまさに癒やしの空間です。ここに滞在すると日常を忘れ、その心地よさを満喫したゲストは、リピーターとして再び訪れることが多いのだとか。 同ホテルは2021年6月、築40年ほどの建物をリノベーションしてオープンしました。コンセプトは、人の健康にとってベストな場所にすること、そして50年後に廃棄されたときに地球環境に負荷がかからないこと。 廃棄するときを考慮した素材選び 建材については、徹底的に自然素材にこだわりました。 床はナラ材、格子部分はスギの間伐材、ほかには竹材も活用し、テラスも含めて天然木のみで仕上げました。客室に用意したアメニティトレイや鉛筆も小田原の間伐材を使用したものをチョイスしています。 壁は土壁仕上げです。日本古来の建築に使用されてきた土は、地方によって色のバリエーションが実に豊かですが、その色がデザインに生かされています。化学塗料やビニールクロスは、バックヤードにいたるまで一切使用していません。 木や土といった自然素材は、断熱性・調湿性に優れているだけでなく、遠い将来廃棄された時にも分解されて環境に負荷をかけないというメリットがあります。 冷暖房にはパネルシェードを使用 冷暖房設備としては、従来のエアコンではなく、冷水と温水によって温度調節をするパネルシェードを採用しました。木のパネルの中に、夏は冷水、冬は温水を循環させて、輻射熱の作用で室内をゆっくりと冷やす、または温めるという仕組み。RC構造の蓄熱性を生かしつつ、さらに80ミリの外断熱を施したり、断熱効果の高いサッシに変更するなどの工夫で冷暖房効率をあげています。風が生じないのでハウスダストも発生せず、消費電力も従来の半分と、地球にも人にもやさしい次世代型エアコンと言えそうです。就寝中に室内が乾燥することがなく、ゲストにも好評なのだとか。 とはいえ、昨今の真夏の猛暑には苦戦をしているそうで、ブラインドや簾を設置する、窓ガラスに断熱フィルムを貼るなど、さらなる対策を施しています。 地元の食材を使用し、食品ロスを防ぐ レストランで提供する料理については、地元の食材を使用することに積極的に取り組んでいます。湯治場で湯上がりに提供しているレモン水には、地元の農家から直接仕入れた完全無農薬のレモンを使用。旬野菜エスプレッソスープはメインで使わない野菜をひたすら煮込んで作ったもので食品ロスを削減しています。 洗浄剤の見直しで環境負荷を排除 ホテルでは水回りの衛生管理が重要なポイントですが、水と塩を電気分解して電解水を生成する機械を導入しました。酸性電解質は医療器具の洗浄にも使用されているように除菌やウィルス除去の効果があります。アルカリ性電解水は油脂の乳化やたんぱく質の分解など、有機物の汚れの除去に優れています。この2つを使用することで、高い洗浄力・殺菌力を保持しながら、排水する時点では水と塩に戻っているので水質汚染を軽減でき、環境負荷を避けられます。 ヴァージンコットンに新たな価値を 通常は廃棄されてしまうヴァージンコットンを、手作業で拾い集めて糸にして靴下として製品化。客室のゲストに提供しています。今まで未利用だったヴァージンコットンの落ちわたに新たな価値を生み出しました。ゲストが持ち帰らずに置いていった靴下については、染色を施して製品化する計画も進行中です。 第2回気候変動アワードで大賞を受賞 このほか、あらゆる場面で、人と環境に配慮した取り組みが見られます。 ・バイオの力で有機物を分解するバイオ洗浄剤を採用、環境にも人体にもやさしい洗浄を実現しています。 ・飲み物で使用しているのは草ストロー。使い心地に問題のあった紙ストローに変わるものとして草ストローを採用しました。草は分解されて土にかえるのでゴミの削減に。 ・歯磨き粉をペーパー歯磨きに変更しました。これにより歯磨き粉の容器自体がなくなったことでゴミを削減。 ・ゲストが使用するための館内着は100%オーガニックコットンを使用しています。 ・駐車場の地面の一部を芝生にすることで、反射熱を軽減。 以上のようなさまざまな取り組みが評価され、小田原箱根商工会議所が実施している気候変動アワードで、令和4年度の第1回では特別賞を、令和5年度の第2回では大賞を受賞しています。 同社の取り組みは、ゴール12(つくる責任つかう責任)を中心に、ゴール13(気候変動に具体的な対策を)ゴール14(海の豊かさを守ろう)ゴール15(陸の豊かさも守ろう)などその他ゴールに広く貢献しています。
SDGs推進のために意識を変える活動を!
有限会社仙景
箱根湯本の須雲川沿いに建つホテル仙景は、総客室15、すべての客室に源泉風呂を備えた趣あふれる和風旅館です。 若女将の津田かおりさんはあるとき中小企業のための経営セミナーに参加、そこでカードゲーム「2030 SDGs」に出会います。 このカードゲームはSDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりを体験するゲームで、プロジェクト活動をシミュレーションしながらSDGsの本質を理解することができます。SDGsファシリテーターの資格がある人が、このカードゲームを主催することができ、さまざまな場面で啓蒙活動を行っています。 このカードゲームの内容に共感した津田さんは、さっそく2030SDGsファシリテーター養成講座を受講、猛勉強の末に約1カ月という超短期間で見事資格を取得しました。 そしてファシリテーターとして、社内研修を行うだけでなく、学校や企業に出向いてワークショップを実施するなど積極的に活動しています。 ホテル仙景においても意識が変わり、少しずつできることから環境のためになる取り組みを開始しました。 ホテルで提供する食事については、食材とメニューを見直しました。箱根山麓豚、足柄牛、箱根の水を使った豆腐、小田原レモンなど、地元の食材を可能な限り取り入れたメニューを開発し、提供しています。アニマルウェルフェアに配慮した平飼いの卵を採用、2030年までに全部の卵を平飼い卵にすることを目標としています。また、箸は吉野檜の間伐材を利用した割り箸に。抗菌作用があるというメリットだけでなく自然保全の観点からも意味があります。 客室のティッシュケースやルームキーホルダーのほか、館内各所に箱根の伝統工芸品である寄木細工製品を採用、今後もアイテム数を増やしていく計画です。館内のカフェではプラスチックのストローを廃止し、繊細で美しい柄が魅力の美濃焼の陶磁器製を使用しています。このほか、シャンプー、コンディショナー、ボディソープを詰め替え式のポンプタイプの容器に変更、シャワーヘッドを節水型に交換など、順次進めているところです。 人材育成においては、各部署の垣根をこえた研修を行ってレベルアップを図り、また、女性スタッフはもちろん外国人スタッフも活躍できる環境を整えています。
地域と連携して進化する老舗クラシックホテル
富士屋ホテル株式会社
富士屋ホテルは、1878年(明治11年)箱根宮ノ下に誕生した日本初の本格的リゾートホテルです。創業者の山口仙之助氏が築いた1棟の洋館は、火災で消失したり地震などの自然災害に見舞われながらも、度々の増改築を経て、本館、西洋館、花御殿、フォレスト・ウィングの4つの建物からなる壮大な建築群のホテルになりました。過去にはチャップリンやジョン・レノンのほか国内外の数々の著名人が宿泊した履歴も残っています。1997年(平成9年)には本館をはじめ建物の多くが登録有形文化財として登録されました。2020年(令和2年)には、2年にわたる大規模な耐震補強および改修工事を経て、箱根を象徴するホテルとして装い新たにリニューアルオープンしました。 宮ノ下の歴史を振り返ると、富士屋ホテルが街のインフラ整備についても尽力していることがわかります。小田原から塔之沢までの道路の開削が進むなか、塔之沢・宮ノ下間の道路7kmについては創業者・山口仙之助氏が地元の方と協力し力をつくしました。その後、富士屋自動車株式会社を設立し1914年(大正3年)には乗り合い自動車の運行を開始、箱根宮ノ下へのアクセスの基盤をつくりました。1893年(明治26年)には水力発電所を開発し、本館裏に発電所を設けました。これに先立ち、1891年(明治24年)に竣工した本館には、火力発電による電灯がともされ話題となりました。富士屋ホテルの発展が、街の近代化とリンクしていたことがわかります。 2020年に誕生した新生富士屋ホテルには、環境への配慮が随所に見られます。 客室では、まず使い捨てプラスチック削減の観点から、客室で提供する飲料水をペットボトルから瓶ボトルに変更、スウェーデン製のウォーターシステム「ノルダック」を採用して、浄化した水を瓶ボトルに詰めて提供しています。もちろん瓶ボトルは繰り返し使います。 また、新たに採用した専用のアメニティバッグは、素材メーカーの技術協力を得て実現した環境配慮型のアメニティです。帝人フロンティアのリサイクルポリエステル繊維の不織布を採用、国産玉ねぎの外皮の色素を使用して小松マテーレの染色加工技術で製作したものです。 客室の寝具については、良質と言われるハンガリー産のグースを使用、一定期間使用した羽毛は富士山の天然水で水洗いして繰り返し使用します。 このほか、プラスチックストローから生分解性ストローへの切り替え、バスアメニティはポンプボトルに詰め替えて使用するなど脱プラスチックの取り組みや、LED照明の導入、空調機コントロールといったエネルギー使用量の削減と、大規模改修を機にさまざまな見直しを行いました。 環境対策のほかに、伝統・文化をいかに継承するかが大改修にあたって重要なポイントでした。多くの建物が登録有形文化財のため、文化的遺産を残しつつ耐震性を備えなければならず、客室は一部屋ごとに基礎から改修する必要がありました。柱材などは再利用しながら、防音機能をプラス、バリアフリー化、外観はそのまま残して化粧直しを施すという手間暇のかかる、難しい工事になりました。家具・調度品については、歴史のある貴重なものも多かったため、いったんすべてを運び出し、家具の再生を専門に行う家具職人たちに託して補修しました。移動した家具類はなんと10トントラック50台分ほどになったといいます。 同社が運営する仙石ゴルフコースでは、ウッドチップを利用したバイオマスボイラーを新たに導入、ゴルフ場内クラブハウスの浴場やレストランの給湯に利用しています。従来の重油からウッドチップに変更したことにより、クリーンなエネルギーの使用とCO2削減による気候変動対策の一助になることが期待されています。ウッドチップは廃棄されていた近隣の森の間伐材を利用したもので、地域の森林保全にも貢献しています。 ホテルでの勤務時間は不規則になりがちなこともあり、職場環境の整備の一環として保育園の運営も行っています。子育て世代の働きにくさが解消されたと好評です。自社従業員に限定せず、近隣のホテルや旅館の従業員や、地域住民の利用も受け入れています。 同社の取り組みは、ゴール11(住み続けられるまちづくりを)を中心に、ゴール7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)ゴール12(つくる責任つかう責任)ゴール13(気候変動に具体的な対策を)などその他ゴールに広く貢献しています。
築地の伝統を引き継ぎ、 豊洲に新たな賑わいを呼ぶ「豊洲 千客万来」
万葉倶楽部株式会社
2024年2月1日、東京・豊洲市場の場外にオープンした「豊洲 千客万来」は、国内外から訪れる観光客の間で人気急上昇のニュースポット。江戸時代の街並みをイメージした木造3階建ての「食楽棟」と、温泉施設が入り宿泊もできる「温浴棟」からなり、東京観光の新しい名所として注目されています。 東京都と連携して同施設を企画・運営するのが株式会社万葉倶楽部で、神奈川県を中心に温泉施設を全国展開する同社のノウハウがぎっしり詰まった複合施設です。 「食楽棟」は新鮮な海産物が楽しめる飲食店や江戸名物が並ぶ土産物店など65店舗が軒を連ねます。海鮮を中心としたフードコートやマグロの解体ショーが見学できる海鮮バイキング店のほか、食べ歩き向きメニューも豊富。買い物が楽しめる和雑貨店、包丁専門店、削り節体験ができる店も。 24時間営業の「温浴棟」には、東京湾を望む絶景露天風呂や、サウナ、岩盤浴のほか、8階には無料で利用できる足湯「千客万来 足湯庭園」も設けられました。温泉は箱根・湯河原の名湯を源泉からタンクローリーで毎日運んでおり、フレッシュな天然温泉が楽しめます。 築地が築いてきた伝統と賑わいを継承し、豊洲市場本体施設と連携して豊洲市場の魅力を⾼めながら、 豊洲らしい活気をもたらし、地域のまちづくりや活性化に貢献しています。 施設建設にあたっては、施設内のエネルギー使用状況を常時監視するBEMS(ビル・エネルギー管理システム)を導入して、エネルギーの最適化とCO2削減に取り組むほか、浴槽排水を濾過処理してトイレ用水や植栽用水に再利用する、照明器具をLED化するなど、省エネや環境保全のための工夫を随所に採用しています。 さらに、食用油の延命装置を導入し、廃棄量削減を行い、同時に、使用済み食用油はバイオ燃料製造のISCC認証業者に回収を依頼し、廃油リサイクルにも協力しています。 同社の取り組みは、ゴール11(住み続けられるまちづくりを)を中心に、ゴール7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)ゴール12(つくる責任つかう責任)ゴール13(気候変動に具体的な対策を)ゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)などその他ゴールに広く貢献しています。
地域住民と旅行者が集う「ミナカ小田原」で街の活性化を
万葉倶楽部株式会社は、万葉の湯などの温泉施設をはじめとする複合施設を、神奈川県内を中心に、北海道、福岡県など全国に展開しています。 小田原駅東口で展開するのが、江戸情緒漂う板張りの外観が印象的なミナカ小田原です。小田原市の小田原駅東口お城通り地区再開発事業の一環として計画されたもので、「みらいの宿場町小田原づくり」をコンセプトに、2020年(令和2年) 12 月4日に開業しました。地上14階地下1階のタワー棟と地上4階の木造低層部分「小田原新城下町」に分かれており、宿泊施設、飲食店、みやげ物店のほか、図書館、医療機関、保育園、オフィスなどが集まっています。 「小田原新城下町」3階部分に設けられたオープンエアの市民広場や、タワー棟14階の展望足湯庭園は、訪れる人誰もが無料で利用でき、地域住民の憩いの場として、また旅行客の旅の拠点として賑わっています。神奈川県産材を使用した「小田原新城下町」の和の雰囲気も評判で、現代建築のタワー棟と伝統木造建築の低層棟を調和・連携させて中世の宿場町にタイムスリップしたかのような体験を提供したことが評価され、2021年度のグッドデザイン賞を受賞しました。また、木の良さや価値をデザインした建築等を評価するウッドデザイン賞も、2021年度に受賞しています。 新施設建設にあたって、省エネや環境保全のための工夫は随所に採用しました。 施設内のエネルギー使用状況を常時監視するBEMS(ビル・エネルギー管理システム)を導入して、エネルギーの最適化とCO2削減に取り組んでいます。また、井戸水を濾過処理することで高品質な浄水を作り、安心安全な水を供給、公共水処理施設の負担を軽減。さらに、食用油の延命装置を導入し、廃棄量削減を行っています。同時に、使用済み食用油は、バイオ燃料製造のISCC認証業者に回収を依頼り、廃油リサイクルにも協力しています。 同社が運営する他の施設でも、従来の重油ボイラーから省エネ型の高効率ガスボイラーに変更してCO2排出量を削減したり、照明器具をLED化したり、浴槽排水を濾過処理してトイレ用水や植栽用水に再利用するなど、各施設に適した設備を導入することで、省エネや環境保全の対策を進めています。 同社の取り組みは、ゴール11(住み続けられるまちづくりを)を中心に、ゴール7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)ゴール12(つくる責任つかう責任)ゴール13(気候変動に具体的な対策を)ゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)などその他ゴールに広く貢献しています。
独自の技術と商品力で、魚を無駄なく100%使い切る!
株式会社山安
株式会社山安は老舗のひもの専門メーカーとして、伝統の味を守り、名産品の「小田原ひもの」の品質を守り続けてきました。現在では1日の加工枚数は約20万枚、その生産量は全国でもトップクラスです。小田原本社工場と北海道の釧路工場において、下処理からすべて一貫して行い量産体制を確立しています。 ひものの品質を保つためにはひもの加工にふさわしい原料魚を調達しなければなりません。「新鮮で脂の乗っている美味しい魚」を安定的に確保するため、国内はもとより、韓国・オランダ・ノルウェーなど各国から世界の地魚を輸入しています。原料魚の品質は時期や獲れる海によって、またその年の気候によっても異なるため、検品を専門とする担当者が直接現地に行き、厳密なチェックのうえで買い付けしています。直接買い付けすることにより、旬の魚を大量購入することができ、手頃な価格で年間通じて安定的に供給することができます。 それを可能にしているのは、自社の冷凍設備ですが、電力を少しでもまかなおうと、本社工場をはじめ、冷凍倉庫、売店や駐車場の屋根にも太陽光パネルを設置して、再生可能エネルギーを使用しています。 加工の過程でわずかにキズがついたり、サイズが小さく規格外のものは、「キズパック」として販売。工場直売ならではのお買い得品として喜ばれています。形が崩れていてもフレーク状にしたり炊き込み用にしたり加工することで、無駄なく商品化して食品ロスの削減に取り組んでいます。 また、骨まで食べられる「骨までパクっと」シリーズを開発、販売。乾燥により旨味を凝縮し、加圧処理を施して骨まで食べられる柔らかさに加工しました。温めるだけで本格的なひものの味が楽しめると大好評。家庭の残飯の排出量を減らしただけでなく、マンションで魚が焼けない、調理に手間がかけられないといった悩みも解決しました。 ひものの製造過程では内蔵などを取り除くため廃棄物が大量に出てしまいますが、魚粉や魚オイルの原料として買い取ってもらうことで有効活用しています。 山安のひものを販売する直営店は神奈川エリアに10店舗展開しています。2020年にリニューアルオープンしたターンパイク店は、直売店ならではの品揃えを誇る販売店のほかに、ひものの定食やお惣菜が味わえる山安食堂を併設。巨大な木の列柱が印象的な外観デザインが特徴で、2020年のウッドデザイン賞、2021年にはグッドデザイン賞を受賞しています。 人材活用においては男女の別なく幅広い年齢層のスタッフが活躍できる環境を整えており、20名を超える65歳以上のシニアスタッフが勤務しています。 また、毎年開催している「さんま祭り」では、無償で焼きさんまを提供することで募金を募り、小田原市ふるさとみどり基金への寄付を行っています。ふるさとみどり基金の森林保全活動を通じて自然環境の保護に寄与しています。 同社の取り組みは、ゴール12(つくる責任つかう責任)を中心に、ゴール7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)ゴール8(働きがいも経済成長も)ゴール14(海の豊かさを守ろう)ゴール15(陸の豊かさも守ろう)などその他ゴールに広く貢献しています。
耕作放棄地を豊かなブドウ農場に蘇らせた小田原ワインプロジェクト
小田原ワインプロジェクト
小田原市石橋に耕作放棄地を借り受け、2020年9月から動き出したのが、小田原ワインプロジェクトです。 農業従事者の高齢化に伴い、耕作が行われなくなり放置された農地が問題となっています。農業生産が減少するだけでなく、十分な管理が行われないために雑草が生え、害虫が発生したり、景観が悪化したり、周囲にさまざまな悪影響を及ぼしています。また本来洪水などの災害を防ぐ機能を持つ農地が、管理されないためにその機能を失い、防災の観点からも、耕作放棄地の発生防止や解消に努めることが求められます。 小田原ワインプロジェクトが優れているのは、ブドウの生産からワイン造りというプロセスを、農業に縁がない多くの市民を巻き込んで楽しみながら実現しながら、農地の本来の機能を回復し維持しようとしていることです。 圃場は開墾から始まりすべて手作りでした。伐採・伐根、整地を行い、地元のさまざまな人の力を借りて圃場を切り開きました。 広さは1.3ha(ヘクタール)で植栽1300本、主に栽培されているブドウはメイヴという品種です。 メイヴが日本で発見されたのが2019年、プロジェクトの始動とタイミングが合ったこと、知り合いだった茅ヶ崎市の田中さんから無農薬で栽培できるメイヴの苗を分けてもらえたことで、メイヴを植えることになりました。奇跡的な出会いだったと言えそうです。 土壌は水はけが良く、東向き斜面なので朝日も良く当たります。暖かく湿気の多い気候のため、海風が吹き抜けるように植え方を工夫して風通しを十分に確保しました。可能な限り無農薬でのブドウ栽培を目指していますが、メイヴはこの地で元気に育っています。 作業はボランティアの方々で行われています。年代はさまざまで、和気あいあいと作業が進められていきます。 そして2022年8月にメイヴ70kgを収穫し、長野県のワイナリーで醸造が行われました。2023年は約50名の人々が収穫に参加、約250kgを収穫しました。 人の縁と人の力で立ち上がったプロジェクト、これからの展望が楽しみです。 メインゴールは、11の住み続けられる街づくりで、さらに15の陸の豊かさ、12のつくる責任つかう責任、17のパートナーシップで目標を達成しよう、と多くのSDGsゴールに貢献している注目のプロジェクトです。
耕作放棄地で、学生と玉ねぎ生産プロジェクト&農福学寺連携プロジェクト
株式会社アグリアン
畑を放置すれば、竹林がはびこり獣害の温床になります。山を生かし次世代に引き継ぐためには、耕作放棄地を整備して活かす取り組みは不可欠なこと。そのための人材確保も深刻な問題です。周辺の農家が相次いで廃業し耕作放棄地がじわじわと増加するなか、300年にわたってみかん栽培を営むあきさわ園はその再生に積極的に取り組んでいます。 2017年、禅龍寺から、後継者不足で使われずに寄付された土地について相談を受け、あきさわ園が管理フォローすることになりました。この土地を利用して始動したのが、東大農学部の学生による玉ねぎ生産プロジェクトです。 小田原市の下中地区は、相模湾から5キロで中山間地まであり、温暖な相模湾からの潮風と昼夜の寒暖差、ミネラルに富んだ沖積土壌が隆起した土地が多く、斜面は柑橘、平地は玉ねぎ栽培に適しており、甘くて美味しい玉ねぎが収穫できます。 「食の力で、うまいがつながる未来を。」を理念に、あきさわ園の指導のもとで、学生たちが開墾作業から携わり、毎年美味しい玉ねぎを選別出荷し、東京広尾にある祥雲寺や三田の弘法寺さんで寺マルシェを開催したりしています。 その後このプロジェクトには地域の障がい者も加わりました。今後、継続的な雇用が期待されています。 2022年には株式会社アグリアンを設立、本格的に農福学寺連携がスタートしています。 株式会社アグリアンのゴールへの貢献 ゴール4(質の高い教育をみんなに)を中心にゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール15(陸の豊かさも守ろう)など、その他ゴールに広く貢献しています。
森空間をそのまま生かしてネイチャーアクティビティの聖地に
株式会社 T-FORESTRY
辻村農園・山林は旧小田原藩から山林を引き継ぎ守り続けて300年、現・辻村百樹社長は辻村家の8代目に当たります。その広さは70ha、東京ドーム14個分という広大さです。 かつてのように木材を切り出すだけでは森林経営が成り立たない木材不況の時代、どのようにして森を守っていくかは大きな課題でした。そうした中で13年前に決断したのがフォレストアドベンチャーの導入です。 フォレストアドベンチャーは、フランス生まれのフィールドアスレチック施設で、国内ではフランチャイズで運営されています。現在全国に展開するフォレストアドベンチャーは40箇所。その5番目に完成したのが小田原の施設です。木々の間にプラットフォームを作り、ケーブルを張って木から木へと探検するアスレチックコースを設置、こどもから大人まで楽しめる自然共生型アウトドアパークです。 フォレストアドベンチャーの素晴らしいところは、コースのために木々を伐採することなく、そのままの状態を生かしてコースをしつらえること。再び木材生産を行う時代が来れば元の森の姿に戻すことができるのだそう。むしろ間伐を行い、下草の整備をすることで、森林を守り、生かすことになるのです。 T-FORESTRYはこのフォレストアドベンチャー小田原を運営するとともに、辻村農園・山林を管理するために設立されました。同社では、フォレストアドベンチャーに続いてフォレストバイク事業を展開。海外のトレイルビルド会社で経験を積んだ専門家を招いて、樹間を走る魅力的なコースを整備しました。こちらも木々を伐採することなく森を生かしているのが最大の特徴です。 さらに、イノシシやシカなどの獣害対策の一貫としてハンターバンクに参画したり、テントサウナを設置したり、持続可能な森の活用を模索しています。 こうした同社の取り組みは、林野庁が推奨する森林サービス産業の先進事例としても紹介され、全国から見学に訪れるなど、山林の多角的経営のお手本として注目されています。 株式会社T-FORESTRYのゴールへの貢献 ゴール15(陸の豊かさも守ろう)を中心にゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール12(つくる責任つかう責任を)にも貢献し、その他ゴールに広く貢献しています。
会社のSDGs取り組みを伝えよう!
資源ごみの回収BOX
マイボトル
生ゴミの捨て方
ウエス
レインフォレスト・ライアンス認証
ヘアドネーション
解凍の助っ人
不要なものを保育園に寄付
暖房は最低限に
生活を貧しくさせる円安
My-ACT®でSDGsを発信しよう!